カイン は 言わ なかっ た。 カインは言わなかったの通販/芦沢央

カインは言わなかったの通販/芦沢央

カイン は 言わ なかっ た

リンク 芸術にすべてを懸けた男たちの罪と罰。 エンタメ界のフロントランナーが渾身の力で書き上げた、 慟哭のノンストップ・ミステリー! 「世界のホンダ」と崇められるカリスマ芸術監督率いるダンスカンパニー。 その新作公演三日前に、主役が消えた。 壮絶なしごきにも喰らいつき、すべてを舞台に捧げてきた男にいったい何があったのか。 その陰で踏みにじられてきた人間の声なき声……。 様々な思いが錯綜し、激情はついに刃となって振るわれる。 ダンサーと画家の兄弟。 答えのない世界でもがく孤独な魂は、いつしか狂気を呼び込み、破裂する。 【評価】こんな人におすすめ!• 芸術好き、表現者• 殺意を抱いたことがある• 新感覚の小説を読みたい• 自分なりに考えながら読みたい 間違いなく、この1ヶ月で一番面白かった! 冒頭のプロローグで提示される「誰が誰を殺したのか」という謎。 この ミステリーとしての謎が脇役のように感じるほど、 魅力に満ちている作品でした。 というか、全ての魅力を伝えることは不可能だと思う。 これはほんとに嘘じゃなくて、面白かったことが多すぎるから。 書評を書く側としてあるまじき、「読んでみてください」と言うしかないです。 それぐらいもう抜群に面白い。 とにかく面白いと言いたくてたまらないんです。 芸術とは何か? 表現することとは何か? 人を殺すときの気持ちとは何か? 考えさせられされること、感じさせられることがどんど次から次へと殴りかかってきて、 「とにかく続きが読みたい」っていう、いわゆる 没頭する感覚を久しぶりに味わいました。 芸術を題材にしている分抽象的な表現が多くて、 何回も読み返しながら自分の中に景色を組み立てていくのですけど、 これが楽しくて仕方がない。 いろいろな人生がないまぜになっている混沌感が、今まで読んだことのないような小説に仕上げていて、 小説の一番の強みである、 「想像する楽しさ」が前面に押し出されている作品です。 だから逆に、想像すると疲れるとか、重めの小説は好きじゃない、という方には向いていないかもしれません。 ただ読書好き、本の虫の方には、強くおすすめしたい一冊です! 【感想】ネタバレあり 芸術を追求する者の感受性 「自分はものすごいことをしているんだと感じたんですよ。 生きて動いている人間を二次元の中に封じ込めて停止させることへの背徳感というか。 自分が彼女にしていることの暴力性に気づかされたんです」 『カインは言わなかった』 これは画家である藤谷豪がインタビューに答えたときの言葉です。 ぼくは画家でもないし、ましてやヌードを描いた事なんて一度もないので、それがどんなものか全く想像も出来ないんですけど、 でもこの藤谷豪の言葉はスーと胸に入ってきて、とても印象に残りました。 ついついヌード画像を検索しちゃったりして。 ー途中まで入れてから、何か間違えたと思ったのかいくつかの商品をカゴの外に出し、もう一度詰め直しを始めた。 客の男性は自分の後ろの列をこれ見よがしに見やる。 彼女は顔を上げなかったが、客が苛ついていることに気づいたようで、ますます動きが慌ただしくなった。 だが、動作が増えただけで結果的な速さはあまり変わらない。 ーふとレジ係の女の子に視線を戻すと、彼女はまだ難解なパズルに挑戦させられているかのように懸命に次のカゴと格闘していた。 『カインは言わなかった』 何でもないような一コマ。 こういうのがぼく好きなんです。 松浦が妻に言われて買い物に行った先のスーパーで研修中のバイトの女の子が必死にレジの仕事と格闘しているシーンです。 このシーンが結構長くて、松浦の体感時間を表現しているのもあるのかもしれませんけど、作者的になにか意味のあるシーンだったのでしょう。 誉田規一監督の正体 最終的に示された誉田の正体は、 「どこまでも芸術にストイックな表現者」でした。 舞台を自分の求める完璧なものに近づけるため、どんなことだってやる人間だったのでしょう。 尾上の考察によると、 藤谷豪の死体を暴露するタイミングが公演初日だったことから考えて、 話題性を作るためには遅すぎること、公演が中止になることを避けようとしたには早すぎることが分かる。 つまり、誉田は 自分の舞台を正当に評価されることを心から望む、一人の表現者だったのです。 しかし、 そのために人を廃人になるまで追い込んでもいいのかという疑問は残ります。 松浦夫婦の一人娘が誉田によって死に追いやられたことは事実ですし。 ですが、 作者はここにも一つの結論を示しているように思うんです。 それは、誉田にこっぴどくやられ殺意を抱くほどにまで追い込まれたあの尾上が、 五年後『カイン』の舞台に主役として立っていること。 「家に帰さない」という理由のためだけに、誉田にあんなにも精神をボコボコにされた尾上がまた、 誉田の元に戻って今度は実力で主役の座をもぎ取ったことが示すのは、 誉田のような表現者を必要としている人もいるということです。 端から見ると誉田の演技指導はクソ野郎の所業で何様なんだと言ってやりたくなりますが、 同じものを追求したいと思う人もいる、中から見なければ分からないことがあるのだということも感じました。 殺人と殺意の狭間 作中、 「誰かを殺そう」と殺意を抱き凶器を手に持つ登場人物がたくさん出てきます。 それらが、プロローグの「誰が誰を殺したのか」っていう謎のミスリードになっているんですけど。 でも、結局殺人を犯すのは、作中で一人だけ。 皆元有美も、尾上和真も、松浦久文の妻も、 殺人を実行に移すことはできなかった。 よく殺意を抱くこととそれを実行に移すことには大きな差がある、と言いますけど、 その大きな差が何なのかを表現したのが『カインは言わなかった』なのだと思います。 アベルを刺し殺す瞬間、カインの目には何が見えているのだろう、と何度も考えてきた。 予想した答えは、きっと激しい殺意があるのだろう、というものだった。 許せないという怒り、苦しみを与えてやりたいという憎しみ、相手がこの世に存在し続けることへの嫌悪が、命を奪うことへの恐怖や躊躇を振り切った瞬間、身体が動くのだろうと。 だが、思いのほか、感情は虚ろだった。 『カインは言わなかった』 実際に殺人を犯した望月澪の動機にしても、そう。 「きっと止めてくれる」という微かなストッパーを、藤谷豪の「いいよ」の一言が破壊してしまったために、 殺意というよりは衝動的な虚ろな感情が殺人へと駆り立ててしまった。

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「カインは言わなかった」芦沢央|芸術と才能の壮絶な葛藤|シーアブックス

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芦沢央さん「カインは言わなかった」インタビュー 表現者たちの苦悩を自らの体験に重ねて ミステリーの気鋭、芦沢央(よう)さんが新刊『カインは言わなかった』(文芸春秋)を出した。 コンテンポラリーダンスを題材に描いた表現者たちの苦悩は、自らの体験とも重なり合う。 弟を手にかけた旧約聖書の説話を基にした「カイン」の公演初日を控え、主役のダンサーが姿を消した。 冒頭の殺害場面はいつ、誰が誰を殺したものなのか。 誰もが追い詰められ、殺害の動機を抱える。 作中の指導者、誉田は東日本大震災で妻を亡くした。 津波を表現する公演が「悲痛な鎮魂」として高く評価される。 芦沢さんも、産院での子どもの取り換えを書いた『貘(ばく)の耳たぶ』を出版した際、似た体験をした。 「2児の母親であることを全面に押し出された。 もし男性が同じ作品を書いたとして、同じ反応になっただろうか。 ざわざわする一方で、当事者か否かが解釈に影響を及ぼすのは、私自身にもある感覚だった」 密接するあまりゆがむ人間関係を描きたいと、「正解はわからなくてもついていくしかない」師弟関係に着目。 コンテンポラリーダンスを題材に選んだ。 言葉がない中、全身を使った細かな表現をしなければ伝わらない。 目線一つで観客に見える景色が変わる。 誉田は「おまえが何を感じているのか、何を見ているのかなんて、どうだっていいんだよ」と指導する。 「リアルな感情と、その表現とは直接はつながらない。 そのことは、当事者性のもやもやにもつながる気がした」(興野優平)=朝日新聞2019年9月18日掲載.

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芦沢央「カインは言わなかった」のあらすじと感想

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2012年に『罪の余白』でデビュー以降、『悪いものが、来ませんように』『火のないところに煙は』など、巧妙な仕掛けで読者を「やられた!」と見事に魅了してきた芦沢央さん。 今回は、発売前から大注目を集めている最新作『カインは言わなかった』について、編集を担当した文藝春秋 浅井愛さんに見どころを教えていただきました。 3年前の最初の打ち合わせの時点ですでに核となるイメージをお持ちで、これはすごいものになりそうだという予感がありました。 驚いたのはその後です。 そのイメージをどこまで面白くしていけるのか、果てしなく追求していく芦沢さん! どんどんアイデアを重ね、新しい案が生まれると、それまでに書き上げた原稿を惜しげもなくデリート。 破壊と創造を繰り返しながら、それぞれのパートや登場人物同士が高め合っていきます。 これが芦沢流かと何度も嘆息しました。 そうしてとことん粘りながら高みを目指していく様は、まさに本作の登場人物たちの姿そのものでもありました。 本作は芦沢さんにとって初となる芸術ミステリーで、舞台はHH(ダブルエイチ)カンパニーというバレエ団です。 そこでは、世界に名を轟かせるカリスマ芸術監督・誉田(ほんだ)と、彼に見出されたダンサーたちが連日、新作公演「カイン」に向けて緊張感に満ちたリハーサルを繰り返しています。 そこに、舞台美術を手掛ける気鋭の画家・藤谷豪という存在も加わり、最上の表現を目指す者同士の魂のぶつかり合いや嫉妬、あくなき挑戦といったものが描かれていくのですが……。 はたして芸術におけるゴールとはいったい何なのか? 生贄のように我が身を捧げ続ければ、いつか芸術の神は微笑んでくれるのか。 そんな究極の問いをあぶり出すかのように創り上げられていくのが作中作「カイン」で、旧約聖書の「カインとアベル」に材をとったこの作品、ともに精一杯の捧げ物をした兄弟の一方だけが神に選ばれるという示唆的な物語と呼応するかのように、ドラマは進んでいきます。 神たる指導者と弟子。 さらには兄弟、ライバル、恋人同士という、簡単には逃れられない関係のあいだに生じる愛憎、そして執着。 冒頭で描かれる殺人シーン。 すべてのピースが揃ったときにみなさんがどんな景色を目にして下さるのか、いまからとても楽しみです。 文=文藝春秋 別冊文藝春秋編集部 浅井愛 あらすじ 「世界のホンダ」と崇められるカリスマ芸術監督率いるダンスカンパニー。 その新作公演三日前に、主役が消えた。 壮絶なしごきにも喰らいつき、すべてを舞台に捧げてきた男にいったい何があったのか。 その陰で踏みにじられてきた人間の声なき声……。 様々な思いが錯綜し、激情はついに刃となって振るわれる。

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