ベートーヴェン 交響曲 第 9 番。 交響曲第9番、序曲集 アンセルメ&スイス・ロマンド管弦楽団(2CD) : ベートーヴェン(1770

交響曲第9番『合唱』 フルトヴェングラー&BPO(1942) : ベートーヴェン(1770

ベートーヴェン 交響曲 第 9 番

本来ワーグナーの歌劇、楽劇のみを上演するためのバイロイト祝祭であるが、この劇場のこけら落としのコンサートでワーグナー自身の指揮で第九が演奏されている。 このことから、第九だけは特別な作品と見なされ、節目の年に演奏されるようになった。 戦争による中断後、記念すべき再開の年に演奏されたのが上述の1951年の演奏である。 フルトヴェングラーは1954年にも演奏している。 さて本演奏は、ワーグナー生誕150年、没後80年を記念した1963年のコンサートである。 指揮者は前年からバイロイトに登場したベームで、この時63歳。 この後バイロイトで新たな演出と共に「新バイロイト様式」を生み出すことになる。 第1楽章:中の速。 インテンポが守られ、壮年期のベームに特徴的ながっちりした構築性と推進力が共存した演奏である。 冒頭こそ穏やかであるが、間もなく熱気が入る。 展開部後半からは畳み掛けるようにオーケストラをドライブして、充実度が上がっている。 ライブのモノラル録音であり、古いこともあってオーケストラの微妙な音色まではわからない。 水準以上の演奏であると思う。 第2楽章:中やや遅。 集中力は保っているが、速度はやや落としてメリハリを付けている。 力強さは十分である。 中間部はやや速度が上がって中となる。 主部回帰部ではティンパニの強打が印象に残る。 第3楽章:中やや遅。 緩徐楽章でも指揮者、オーケストラ共に集中を切らさない。 緊張を孕んだ演奏と言うべきか。 第2主題部は僅かに速くなる。 弦楽は良い音色を響かせているようだ。 第4楽章、序奏:中やや速。 速く毅然としたレチタティーヴォが特徴的。 一時静止は短い。 歓喜の主題は中で端正に開始される。 主題が繰り返される部分では対位法的な副旋律の扱いが非常に上手く、自然に高揚していくのが素晴らしい。 第1部:中。 ロンドンのバスは声質こそ良いのだが、余分な間や過度の巻き舌などが少々聞きづらい。 音程を外すところもある。 四重唱ではヤノヴィッツが他を圧してしまっている。 美声で上手いのはわかるが、四重唱なのだからもっとバランスにも気を遣ってほしいものだ。 第2部:中やや遅。 トーマスのテノールは変わった歌い方である。 声質はやや太い。 さてフーガである。 中やや速で演奏され、期待通りの充実度である。 さすがはベームというべきか。 歓喜の合唱は厚みがあって素晴らしい出来である。 第3部:中やや遅。 合唱は大きく深い響きが良い。 第4部:中やや遅。 ここでも大きな広がりを感じさせる合唱がとても良い 第5部:中やや遅。 四重唱はやはりヤノヴィッツとその他3名という感じである。 ベームもコントロールしきれなかったと見える。 ここまで極端なのは聴いたことがない。 コーダ:中。 Maestosoで速度をやや落とし、最後は中の速で終結する。 拍手あり。 ブラヴォーはないが、地鳴りのような音が収録されている。 足踏みなのか一斉に立ち上がったときの音なのか。 総評:第1楽章や終楽章序奏で聴かれるように、速めで非常に凝縮し、集中力の高い演奏が特徴的な演奏である。 その一方で中間楽章や終楽章の合唱部分のように、速度はやや落とすものの高い集中力を保つ部分も聴かれる。 元々ベームの本質として持つ構造性重視の音楽に緊張感が加わることで、非常に充実した演奏になっている。 残念なのが独唱者であり、ソプラノのヤノヴィッツは完全に他の3名を制圧する歌唱であり、四重唱ということを全く理解していない。 バスとテノールはやや実力不足。 もしベーム・ファミリーと言われた歌手達、シュヴァルツコップ、ルートヴィヒ、ヴィントガッセン、ベリーらを起用していたら、まさに夢のような演奏会になっていたのにと考えてしまう。 名演であるが、上記四重唱が全く駄目なのと、録音が悪いことを加味して推薦にはしない。 見事に中庸の美徳を具現している。 変わったことは何一つしていないが、楽器バランスや強弱のバランスが良く、適正なテンポとしっかりした刻みのリズム、適度な推進力と相まって高品位の演奏となっている。 展開部兼再現部の頂点の迫力も立派である。 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(LPO)の演奏もハイティンクのコントロールの下に十分なレベルを示している。 これは後年のを凌駕するのではないか。 第2楽章:中やや速。 リズム感と推進力が心地良い演奏である。 反復があるのが残念なところで、主部が長すぎる印象を与えてしまう。 中間部は速くならない好みのタイプ。 中やや速でホルンの速度など最適だと思える。 第3楽章:中やや速。 端正で品位ある演奏である。 僅かにフレーズの息遣いが浅いようにも感じられる。 第2主題部は少し速くなる。 十分優れた演奏であるもここは87年ACO盤に及ばない。 第4楽章、序奏:レチタティーヴォは速めで始まり、次第に遅くなる。 歓喜の主題は中。 丁度良い速度でしっかり盛り上がる。 第1部:中。 ラクソンは多少力が入りすぎのようで、低音域の音程が怪しいが、なかなか立派な歌唱である。 四重唱は残念ながらソプラノのボーデが出過ぎ。 第2部:中やや速。 ラウベンタールのテノールは声質が軽い。 充実したフーガとしっかり厚みのある歓喜の合唱が良い。 第3部:中。 合唱は男声合唱が多少叫ぶきらいがあるものの立体的でなかなか優れている。 オーケストラ伴奏も構造的。 このあたりはハイティンクのコントロールが卓越しているのだろう。 第4部:中やや速。 二重フーガも立体的、構造的で優れる。 第5部:中やや速。 四重唱はここでもソプラノが出しゃばりすぎでバランスが悪い。 ハイティンクもここまではコントロールしきれなかったと見える。 対抗すべきテノールの声量がないのも原因だろう。 コーダ:マエストーソでしっかり速度を落とすのがとても良い。 最後は速くし過ぎていないところも良いバランスだと思う。 総評:これは意外と言っては大変失礼なのだが、予想外の名演であった。 47歳時のハイティンクが既に高度なオーケストラ・コントロールの能力を発揮しており、若さを印象づける推進力も合わせ持つという演奏である。 この時点でハイティンクのやりたいことが全て出来るのは多分LPOであり、一癖も二癖もあるACOではまだそこまでの楽団把握が出来ていなかったため、全集はLPOを起用したのだろう。 無論の価値は衰えない。 ACOでも完璧なオーケストラ・コントロールを示し、加えてどこにも真似できないような純度の高い音色があること、更に独唱者4名が最高であることなどがその根拠である。 ただ本演奏でのLPOも決して音色や音響の厚みに不足がある訳ではない。 そして独唱者の出来を除くとむしろ本演奏の方が優れる点も多々あるとさえ思える。 具体的には第1、2楽章は僅かに本演奏の方が上を行くし、終楽章も速度設定など本演奏の方が良いように思える。 これで独唱者が良かったら文句なしの特選であったと思われる。 第3楽章もハイティンクの得意とする楽章であり、十分良い演奏である。 合唱の扱いも立体感があって非常に良かった。 ハイティンクは異なる三つの合唱団を率いていずれも名演を聴かせてくれている。 オーケストラだけでなく、合唱団のコントロールも優れていることがわかる。 これは余裕で推薦盤の仲間入り。 ベームの刻むような力強さにWPhの柔らかさが絶妙にブレンドされていて良いバランスである。 展開部では構造性重視のベームの特性が発揮され強固な立体感が聴かれる。 全体にほぼインテンポが貫かれており、一時静止を殆ど取らなかったり展開部兼再現部の頂点でも遅くしたりしないのは本来のベームのスタイルであろう。 身振りの大きな演奏ではないけれども、自然ににじみ出る格調とスケール感が良い。 第2楽章:主部は中やや遅。 中間部は中。 推進力はそこそこであるも、強い刻みが印象的な主部、 端正な中間部。 第3楽章:中。 ベームはベートーヴェンやブラームスの緩徐楽章の演奏に名演が多い。 ここでも過度に感傷的にならず、穏やかながら格調高い演奏である。 弱音でのウィーンフィル(WPh)の弦楽が繊細な美しさを示す。 速度変化や細かい表情付けは行っていない。 溜や一時静止も殆どないのがやや素っ気なく感じられるも、ベームらしいと思える。 第2主題部が速くならないのは私の好みに合っている。 第4楽章、序奏:中やや遅。 レチタティーヴォはさほど入れ込んでいない。 歓喜の主題前の静止は短い。 歓喜の主題は開始が中やや遅で良い感じだが、後半で少々盛り上がりに欠ける。 第1部:中の遅。 リッダーブッシュの声質は良く音程も正確。 出だしからかなり力が入っている。 四重唱はジョーンズのソプラノが光る。 第2部:遅。 第1部との間の静止は短い。 遅さが特徴的。 トーマスのテノールは声量があり、音程もまずまずだが、遅さのため歌いにくそうである。 フーガは中やや遅で水準以上であるも、定評あるベームのフーガ演奏にしては平凡か。 歓喜の合唱はまた遅く個性的。 合唱は普通。 第3部:遅。 ここでも遅いが、天上的な響きが感じられるので遅さに説得力がある。 ただ合唱も遅さにやや苦労しているのが聴き取れる。 第4部:遅。 遅い合唱のため各声部が混和して大聖堂の響きを思わせる独特の音響となっている。 第5部:遅。 四重唱ではやはりジョーンズが目立つが突出しているわけではない。 一人だけ格が違うという感じ。 終結部:中の遅で進み、最後だけかなり速くなる。 ここはもう少し遅い方が整合性を持ったと思う。 総評:前三楽章が飾らない構造性重視の壮年期のベームスタイル、終楽章が晩年のスタイルとなっている。 もともと前三楽章と終楽章の曲想が異なり、木に竹を接いだような曲なのでやむを得ない部分もあるけれども、このスタイルの違いは少々違和感を覚える。 終楽章でも第3、4部などのように遅さが成功している所もあるのだが、全体に間延び感や集中しきれない部分も聴かれる。 それにこの方向性なら、より徹底している10年後の演奏の方が良い。 本演奏では前三楽章の出来が良く、この方向性で終楽章を演奏してほしかったと思う。 提示部では所々でもたつくような遅さを感じるが、総体的にさほど遅さに違和感を覚えない。 フレーズの終わりが全て長いので壮年期のベームのような刻みのリズムは殆ど感じ取れない。 展開部に入ってからは次第に遅さが説得力をもって迫ってくる。 念押しするようなリズムも聴かれるようになる。 展開部から再現部で集中力も増しているようだ。 コーダでは遅さとクレッシェンドが凄い。 クレッシェンドが来るとわかっていても思わず力が入ってしまう。 ウィーンフィル(WPh)らしい弦の柔らかさは聞き取れるが、デジタル初期の録音のためか響きがやや硬い。 第2楽章:遅。 この楽章も曲の入りは遅さが少々気になるが、主部の後半から遅いなりにリズムに乗ってくる。 中間部は中やや遅、主題回帰部は中の遅でコーダは中。 楽章の後半は大して遅くない。 第3楽章:中の遅から遅。 WPhの弦が美しく詠っている。 安らぎに満ちており、遅さが有意義に聞こえる。 第2主題部は中の遅で普通という感じで決して遅くない。 好みから言うと第2主題はもっと遅くても良いぐらいだが。 この楽章も第1、2楽章と同じで初めが遅く、楽章後半で速くなっていく。 第4楽章;序奏:中の遅。 レチタティーヴォはかなり力強く演奏されている。 歓喜の主題登場前の静止はごく短い。 一方歓喜の主題を極めて小さな音量で開始するのが印象的。 何も皆がに倣う必要はないのだ。 このベームのやり方も十分劇的と思う。 その後主題が高揚する部分は中の遅となり、WPhの音色が実に美しい。 第1部:中。 ベリーのバリトンだが歌い始めは合格。 声も良く立派な歌唱だ。 しかしシラーの詩に入ったとたんに速くなり過ぎたのが残念。 途中から少し修正しているが、ベームの方を見ていなかっただろうと言われても仕方がない違和感である。 この部の最後の合唱でもフェルマータは長くなく、フルトヴェングラーのやり方とは明確に違う。 第2部:遅。 直前の静止はやはり短い。 第2部になるとはっきり遅いと感じる。 ドミンゴのテノールは元バリトンらしいしっかりした声質、歌唱力とも優れたものである。 しかしベームの遅い指揮についていくのが難しそうで、独唱後半でややスピードアップする。 独唱後のフーガは遅く、シンフォニックで良い。 歓喜の合唱は遅さがもたつきに思えてしまう。 流石にここは遅すぎると思う。 第3部:遅。 やはり遅いが、この部では遅さがよく生きている。 遅い合唱が別世界を感じさせる。 ただ女声合唱は良い声なのに、男声合唱が荒っぽい。 第4部:遅。 遅い二重フーガである。 遅さが壮大さを生んでおり、とても良い。 第5部:中の遅。 四重唱は全員が叫んでいるようで良くない。 コーダ:中やや遅。 途中マエストーソになる部分もしっかり速度を落とすのが良く、最後のプレスティッシモが生きている。 終楽章全体として、独唱部分が気になった。 独唱者4人はそれぞれ上手いと思うのだが、四重唱が自己主張ばかりで今一つなのと、ベームの遅さを今ひとつ理解し切れていない印象。 逆に言えばベームも独唱者をコントロール出来ていない。 総評:ベームとWPhとして二回目の録音、ベーム最晩年の境地が聴ける。 全体に非常にスローテンポなのが特徴で、その遅さが十分説得力を持っているのが第3楽章である。 その他に第1楽章の後半、終楽章の後半も遅さが意味を伴っており優れている。 かなり個性的なのは言うまでもなく推薦とはしにくいが、独特な魅力がある演奏である。 冒頭からいきなり駄目である。 先を急ぐような演奏にしか聞こえない。 余韻と言うものが全くない。 金管がプカプカ鳴っているのも、「これがベルリンフィル(BPh)?」というレベルである。 弦楽は速い部分も破綻なくきちんとしたアンサンブルを聴かせてくれるが、速さと巧さを誇示されてもそれは芸術とは別だよね、と言いたくなる。 展開部の高揚する部分も案の定味気なく、ティンパニだけが目立つ。 そのまま何も良いところなくコーダに至る。 第2楽章:主部は中やや速。 第1楽章ほど非常識に速くない上に、スケルツォなので速さがあまり欠点にならないので、それなりに聴ける。 ただやはり反復はしている。 さてそれで良い演奏かというととてもそうは言えない。 よほど小編成にしているのか、BPhらしい音響の厚みが全然感じられないからだ。 ノンヴィブラートがいけないのかも知れない。 中間部は速。 これはまた明らかに駄目。 そんなに先を急いでどうするのか。 第3楽章:速。 フレーズの呼吸が極めて浅く、慌ただしく次へ次へと進んでしまうので、せっかくの名旋律が心に残らない。 余韻は全然感じられない。 速度以外にも気に入らないところがある。 内声部の扱いが悪く、主旋律だけのひどく単純な曲に聞こえるのだ。 全くもってベートーヴェンへの冒涜である。 第4楽章:序章は速。 せわしないレチタティーヴォが嫌な感じである。 歓喜の主題は弱音で開始される。 やはりすぐ次のフレーズに行ってしまうので慌ただしい。 第1部バス独唱に入ると速度は中やや速となる。 独唱者や合唱にまで速すぎるテンポを強要出来なかったと見える。 バスのクヴァストホフは上手く、声質も優れている。 第2部のオーケストラ部分はまた速い。 そのままでテノール独唱に進んでしまうため、モーザーがすごく歌いにくそうにしている。 声質は良いのに気の毒である。 歓喜の合唱も速い。 金管の合いの手が安っぽい。 第3部は中の速。 やはり余韻のない演奏。 合唱の厚みが比較的あるのにBPhが薄っぺらで釣り合っていない。 合唱にミスあり(声がかすれる)。 第4部は中、何故ここで普通の速度?整合性は?第5部の四重唱はなかなか良い。 コーダはピッコロが喧しい。 総評:アバドとBPhによるこの1999〜2000年の全集には最低レベルの評価を付けてきたが、本演奏もと並ぶ、超絶駄演である。 良いところが何一つない。 おっと忘れるところだった。 独唱者は良いと思う。 BPhも管が駄目だし、合唱も実力が低そう(男声合唱は叫ぶし、女声合唱は声が裏返ったりかすれたりするのがいるし)。 大体なぜスウェーデンの合唱団をわざわざ使うのか。 まあ、何より駄目なのがアバドなのだが。 遅めのテンポで間延び気味であるが、強弱を大きく付けることでなんとか緊張を保っている。 同じ遅めでもの構造的な演奏に対ししなやかな演奏だ。 展開部あたりから次第に速くなり、普通のテンポとなる。 展開部での白熱度、緊迫度は物足りない。 コーダでぐっと遅くなり、そこから加速して楽章を終える。 ウィーンフィル(WPh)の弦楽は柔らかい良い音色である。 管楽は普通の出来か。 第2楽章:中の遅。 主部はやはりかなり遅く、リズム感が不足気味。 ディナーミクを強調することで補っているのは第1楽章と同じ。 この演奏は主部の繰り返しがある。 こんな繰り返しは無駄に長くなるだけであり不要。 こういうのを指揮者はきちんと切り捨てて欲しいものだ。 中間部は速過ぎ、主部と合わないと思う。 だいたい私個人としては、速めない伝統的演奏のほうが圧倒的に好きである。 第3楽章:中やや遅。 遅めだがこの楽章としては特に遅いというほどではない。 WPhのやさしくもしなやかな音色が美しい。 第2主題はやはり速めのテンポとなる。 少し急いでいるように聞こえてしまう。 私は第2主題も遅めに演奏して欲しいのだが、速く演奏する指揮者が多いようだ。 本演奏における第3楽章全体の印象としては悪くはないが平凡である。 第4楽章、序章:レチタティーヴォは速い。 確かに楽譜にはそう書いてあるし、フルトヴェングラーもそう演奏しているのだが、第1〜第3楽章の流れからすると結構違和感を覚える。 一時静止は短い。 ここはフルトヴェングラーに倣っていないようだ。 第1部:中。 プライのバスは、声自体は素晴らしいものの、明らかにオペラ癖が出ている。 軽い感じで威厳に欠ける。 フィガロが歌っているようにしか聞こえない。 四重唱はソプラノが出しゃばりすぎ。 ソプラノも指揮者もバランスを考えないのだろうか。 第2部:中やや速。 ヴィンベルイは叫んだときに音程が合っていない。 この曲はオペラじゃないんだが。 バス、テノールとも人選ミスである。 歓喜の合唱も速め。 第3部:中。 合唱はなかなか良い。 第4部:中やや遅。 二重フーガは再び遅くなっている。 ここは合唱、オーケストラとも立体的で良い。 第5部:中やや速。 四重唱はここでもソプラノが暴走。 プライの美声もかき消されてしまっている。 コーダ:中。 中間のマエストーソの部分はあまりテンポが変わらない。 もっとはっきりテンポを落としてくれた方が良かった。 最後の速さはまずまず。 総評:1980年代も後半になり、カラヤン、バーンスタインはまだ健在であったものの高齢となり、次世代のスター指揮者を本格的に決めなくてはという雰囲気が漂っていた。 そんな中、ドイツ・グラモフォンの肝煎りでアバドが王道たるべきベートーヴェン交響曲全集を録音したのがこのシリーズである。 アバドもそういう立場をわかっていての演奏であったと思うが、そこかしこで消化不良の部分があり、彼のベートーヴェンに対する理解度に疑問を抱いてしまう結果となった。 アバドはこの後ベルリンフィル(BPh)の首席指揮者にまで上り詰めたのに、結局王道を行くことは出来ず、そのプレッシャーから逃れるために妙なピリオドまがいの奏法を取り入れて迷走することになる。 本演奏はそういった後年の凋落の原因がうかがえる演奏とも言えるだろう。 と印象はよく似ている。 ライブだからと言って煽るような表現にならないのはハイティンクらしいところだ。 引き締まった端正さ、調和のとれた演奏という印象が強い。 一字一句はっきりさせた楷書体の演奏でありながら、ライブらしく僅かな速度変化で劇的な味付けをしているのが絶妙のバランスである。 コンセルトヘボウ管弦楽団(ACO)の演奏もライブながら見事なもので、さすが一流どころは違うなと思わせる。 強いて違いを述べるならば、87年盤の方が、より高度なアンサンブル、より魅力的な音色を聴かせているようだ。 7年で進化したのか、録音の差か、ライブとセッション録音の差かはわからない。 第2楽章:主部は中。 中間部も中、中間部で速くないのはハイティンクに共通する良いところ。 中間部後半から僅かにテンポの伸縮がある。 第3楽章:中。 ハイティンクの第3楽章は実に良い。 聴き始めるとすぐ品格の違いを感じる。 どこが他と違うのだろう。 メロディをしっかり歌うだけでなく、内声部などのバランスに優れ充実した響きになっているからだろうか。 87年盤より僅かに速く、全体の速度は中となっている。 終盤で軽い速度の変化が聴かれるのがライブらしいと言えるか。 いずれも名演であり甲乙付けがたい。 第1主題部の速度は本盤の方がより自然であるが、第2主題部が遅めでACOの美音度が高い87年盤も素晴らしい。 レチタティーヴォは87年盤と異なり中速。 歓喜の主題も中で、87年盤より劇的なところが好み。 歓喜の主題前の静止は中ぐらいで丁度良い。 第1部:中。 リンツラーのソロは歌と言うより台詞を述べているように聞こえる。 低音域が出ていないのではないか。 声質も人工的な感じで好みではない。 一方合唱は87年盤と合唱団が異なるが、こちらも良い。 四重唱はバスが弱い。 1部終わりのフェルマータは中ぐらいからやや長い。 第2部:中の速。 ラウベンタールの声は特に魅力がある訳ではない。 そつなく歌っているという感じで声量は不足気味に思う。 フーガは少々速い。 歓喜の合唱は中で、スケール豊かである。 第3部:中やや遅。 良い合唱であるが、男声合唱はオランダ放送合唱団の方がやや上。 第4部:中やや速。 立体感のある二重フーガであるが、87年盤の完璧な構造感と比較するとやや劣る。 第5部:中やや速。 テンポの変動あり。 プライスの声は硬質で聴きづらい。 バスのリンツラーは存在感がない。 四重唱として出来は悪い。 コーダ:速。 Maestoso部分の速度の落とし方は絶妙で速度の対比が鮮やか。 最後は87年盤以上の速さで流石のACOも多少鳴りきっていない。 拍手が短時間収録されている。 第5部からコーダはライブらしい加速と高揚が聴かれる。 終楽章全体としてはハイティンクらしいバランスのとれた演奏である。 無論高度な演奏であるのだが、87年盤の圧倒的な歌手陣と比べてしまうとさすがに分が悪い。 総評:特薦盤の座に着いているのが同じなので、どうしてもこれと比較することになる。 7年の開きがあるも、基本的な曲作りは共通しているように思う。 ハイティンクらしい真面目な解釈である。 ACOも絶頂期の87年盤には僅かに及ばないものの十分な実力を発揮している。 特に前半三楽章はどちらを聴いても十分な満足感が得られる名演だと思う。 ハイティンクはライブで特に爆演になる指揮者ではないので、ライブらしい劇的さはさほどないが、普通の演奏として十分高水準であると言える。 違いが出るのが終楽章である。 上述の通り、87年盤の独唱四名があまりに凄すぎて比較にならない。 ハイティンクのテンポ設定などはむしろ本盤の方が優れている部分もあるし、合唱もそれほど遜色ない演奏なのであるが…。 その後第2主題提示部あたりから中やや遅となり、リズム感が出てくる。 極端ではないが所々で溜めやリズム変化が用いられている。 展開部兼再現部の頂点では中やや速まで速度を上げる。 コーダでは一旦遅くなり徐々にアッチェレランドをかけるが、速くしすぎないのが良く、規模が大きく聞こえる。 ティーレマンはこの全集で縦に整った響きや細部の厳しさを描くのではなく、スケール感を追求しているように感じられるが、この9番でも大編成オーケストラの響きを十分に活かす曲作りをしている。 大らかで広がりを感じる演奏。 第2楽章:主部は中の遅で、重厚な演奏。 全体には少々遅すぎるように感じられるも、クライマックスでは遅い足取りが独特の雰囲気でなかなか良い。 ただ違う曲を聴いている印象を与える憾みがある。 中間部は中やや遅で丁度良い速度。 この速さであればこそ、この曲の穏やかな美しさが魅力を最大限発揮すると思える。 中間部を速く演奏するの指揮者はその辺りがわかっていない。 1990年代以降は喧しく聞こえることも多いウィーンフィル(WPh)の金管であるが、ここではホルンを中心に良い音色である。 第3楽章:中やや遅。 おおらかにゆったり歌う弦楽が美しく、近年ろくな演奏がなかったWPhを再評価したくなる。 厳密に縦の線を合わせるような演奏ではないが、全体の流れを優先しており、こういった演奏もまた良しである。 WPhらしい演奏とも言える。 ティーレマンはこの楽章で速度変化をあまりつけていない。 第2主題部の終わりなど彼のスタイルならしっかり伸ばしそうなものだが、そのまま流している。 第1主題部はフレーズの息がやや浅く、すぐ次へ進んでしまうのが少し不満。 一方第2主題部は速くならず、ゆったり歌うのが非常に良い。 第4楽章、序奏:中やや遅、レチタティーヴォが速くないのは好み。 歓喜の主題登場前の静止は長い。 歓喜の主題部は中。 後半のアッチェレランドも良い感じ。 第1部:ツェッペンフェルトのソロはとても良い声で気に入った。 四重唱から合唱は中の速。 合唱は深い響きで大きさを感じる。 最後のフェルマータはやや長め。 第2部:一時静止は普通の長さ。 テノールのベチャーワは特に美声というわけではないが、よく声は出ている。 急加速してフーガへ至り、フーガは中の速。 なかなか劇的であり良いと思う。 歓喜の合唱は厚みがあって満足度が高い。 ウィーン楽友協会合唱団はは実力不足などと言われていたようだが、21世紀になって実力が向上しているようだ。 速度は中の速。 第3部:中。 弦楽合奏部の立体感が優れている。 合唱もスケール感があって素晴らしい。 それが優秀な録音で捉えられているのが特筆される。 第4部:中やや速。 速めだが合唱の扱いが非常に上手く、立体的に大きく響く。 第5部:中やや速。 ここでも合唱が非常に良い。 四重唱はやはりバスのツェッペンフェルトが出色。 コーダ:中の速。 ピッコロが非常に良く響いている。 Maestosoでの速度の落とし方も良い。 最後はシンバルが目立つ終結。 総評:第1〜3楽章は遅めの演奏がティーレマンらしく、最近のピリオド奏法、せかせかした速い演奏にきっぱり反対の意を表しているのが素晴らしい。 曲の広がりや大きさをよく表現している。 ただ曲の解釈としては特に個性的なものではなく、比較的オーソドックス(時々ティーレマン節が入るが)。 WPhのベートーヴェンとも言えるのではないか。 無論これはティーレマンとWPhの相性が良いことによるものだろう。 最近のWPhは妙に品のない音色が目立っていただけに、久々のWPhらしい美音が聴けるのは嬉しい。 そこで終楽章はといえば、これが一転してティーレマンらしさ全開となっている。 彼の本領はオペラにあると言われるが、その特質を生かし合唱を実に良く歌わせ切っている。 前三楽章と終楽章の扱いが異なるが、これはもともとの曲に矛盾を含んでいるためであり、悪いことではない。 本演奏では充実した合唱、情熱的な演奏で終楽章としては成功していると思う。 総合的に判断して、、には僅かに及ばないように思う。 しかしベートーヴェンらしく規模の大きな演奏スタイルと、WPhの美音が優秀録音で捉えられていることを考え合わせるとトップ5に十分入る演奏と考える。 曲の冒頭から前半は中庸の徳を具現化した演奏である。 余計な色を一切付けないブロムシュテットの曲作りにシュターツカペレ・ドレスデン(SKD)の強靱な刻み、そして深い琥珀色を思わせる弦の音色が合わさって、重すぎず強く格調の高い演奏となった。 ブロムシュテットの指揮はインテンポ一本槍ではなく、強調するところで少し加速したり、コーダ前でしっかり減速したり適切な変化を持たせている。 またリズム感も豊かである。 楽章全体にティンパニが目立っているが、特に展開部と再現部を兼ねる頂点から以降ではその強打が炸裂している感じであり、威力満点である。 良いことずくめのようであるが、強いて欠点を挙げれば、バランスとしてはティンパニを強調しすぎているように思える。 その点ではのような神経の行き届いた演奏の方が私は好みである。 第2楽章:中。 強いリズムが支配する演奏である。 ティンパニの強打がSKDらしさを表現している。 反復が行われ、より時間は僅かに長いのに、本演奏では長すぎると感じられなかった。 リズムと推進力に優れるためだろうか。 中間部が速くならないのは私の好みのタイプ。 第3楽章:中。 一転してアンティーク家具を思わせるSKDの弦楽が魅力を発揮している。 第2主題は僅かに速くなる程度で、しっかり歌うのが素晴らしい。 コーダで大きく減速し終楽章へと移る。 レチタティーヴォはやや速めに演奏される。 歓喜の主題前の一時静止は短い。 主題は中速で始まり、徐々に速度を上げる。 劇的に盛り上がり、ここは完璧である。 第1部:中、後半は中の速になる。 アダムのバスは声量豊かで立派なソロである。 四重唱も合唱も上手く、推進力に満ちた音楽となっている。 第2部:中。 シュライアーのソロは最初抑えめに入るが、その後豊かな声量と美声が存分に発揮される。 フーガは中やや遅で推進力に富む。 歓喜の合唱は厚く豊かな合唱で輝かしさがある。 第3部:中。 合唱が素晴らしい。 とに匹敵すると思われる。 第4部:遅。 ここでは遅くなり、巨大な二重フーガを構築している。 遅くした効果が十分出ている。 これは凄い。 第5部:中やや遅。 四重唱はややソプラノが出過ぎている。 知らないソプラノであるが、声量はあるようだ。 最後の四重唱も少々バラバラな印象で、珍しくシュライアーも良くない。 この第5部だけがちょっと残念な出来となっている。 コーダ:中。 速過ぎず推進力を保っている。 Maestoso部分も十分速度を落とし文句なし。 そして終曲のPrestissimoはやはり速過ぎずしっかり締める。 総評:これは超名演である。 全体に非の打ち所がない。 SKDの音色、テノールソロ、バスソロ、合唱も高度なレベルで揃っている。 と並び特薦の座に着いた。 楽器のバランスや響きの溶け合い方などにおいて、より中庸性が高いのはハイティンクであるし、ブロムシュテットは速度設定が最も優れている上に強い刻みで迫力が上回る。 SKDの特色を生かした9番の演奏という意味では明らかにより上である。 デイヴィスは重々しい演奏を狙いすぎてかえってSKDの良さを生かし切れていない憾みがある。 【名演、特薦】 ベタであるとは思いつつ、年末なので「第九」を集中的に取り上げることにした。 デイヴィスやは以前にも聴いており、再鑑賞した感想を述べている。 一方クレンペラーと本演奏、ブロムシュテットは初めて聴く演奏であった。 そこそこ期待はしていたものの、本演奏の名演度は期待を遙かに上回るものであった。 年末に嬉しい誤算である。 冒頭から遅く重厚な演奏である。 ところどころでアッチェレランドが入ったり、念押しが入ったりするので一本調子ではない。 再現部にて極めて遅くなり、そこから加速するのはちょっと異端な気がする。 この時代のゲヴァントハウス管の音色は他のいかなるオーケストラとも異なるもので、これを聴くだけでも価値がある。 この楽章は重々しく立派であり、名演と言って良いだろう。 第2楽章:中の遅。 そこかしこで念押しがあり、非常にごつごつした印象。 トリオは中、主部よりは速くなっているのだが、元が遅いので良い速度となっている。 第3楽章:中やや速。 第1楽章の遅さからすると意外な速さ。 もっともコンヴィチュニーはでも楽章が進むにつれ速くなっていったので、そういうスタイルなのかも知れない。 速過ぎるとは感じないが、頑強な遅い演奏を期待していたのでやや拍子抜け。 一方、弦楽の音色の何と心地良いことか。 聞き惚れてしまう。 古い録音とは思えない良好な音質も特筆される。 第4楽章 - 序奏:中の速。 おとなしい曲の入りである。 クライマックスはもっと後だという意味だろうが、ちょっと迫力に欠ける。 レチタティーヴォは速め。 歓喜の主題前の全楽休止は短い。 歓喜の主題は中の速。 ここでも弦楽の音色が喩えようもなく魅力的であるが、それだけにもう少し遅く堂々と演奏して欲しかった。 第1部:中の速。 アダムのバスは堂々としているし良く通る声も良い。 四重唱ではソプラノが突出する。 最後のフェルマータは長め。 第2部:一転、遅となる。 テノールも歌いにくそうである。 ところでRotzschというテノールであるが、音程こそ正確だが声質はひどく軽く、この曲には似合わない。 恋歌でも歌っているようだ。 フーガに至っても中の遅のままであるが、第1、2楽章で聴かれたような重厚な念押しはなく、ただ遅いだけの締まらない演奏である。 これはどうしたことか。 歓喜の合唱は中。 厚みが感じられず、合唱団の実力はあまり高くなさそう。 第3部:中の遅。 なんかぶつ切れの演奏で流れが悪い。 第4部:中やや遅。 少し流れを取り戻した感がある。 第5部:中の速にまた速度を変えている。 一貫しないなあ。 ソプラノとアルトは知らない歌手だがたいしたことはない。 全体にソプラノは気張りすぎ、特に四重唱の最後は声を張り上げまくって興醒めである。 コーダ:中。 普通のコーダだが、最後の最後が軽い。 総評:重心の低いどっしりした演奏を期待したのだが、それは第1、2楽章だけであった。 第1楽章の調子を終楽章まで続けてくれたら良かったのに。 どうもコンヴィチュニーのこの全集は全て第1楽章に力が入っており、その後軽くなる傾向があるように思う。 なら曲想からそれも良しとできるのだが、さすがにこの9番でそれをやってはまずいだろう。 特に終楽章は速度が一定せず、印象がばらばらである上に、第3部などは集中力の欠如が聞こえる。 また、独唱、合唱とも能力が低いのも残念なところ。 バスのアダムだけが孤軍奮闘している。 全体として期待はずれ。 【佳演】• 12 archives• 24 recent comment•

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第9交響曲 ベートーベン

ベートーヴェン 交響曲 第 9 番

本来ワーグナーの歌劇、楽劇のみを上演するためのバイロイト祝祭であるが、この劇場のこけら落としのコンサートでワーグナー自身の指揮で第九が演奏されている。 このことから、第九だけは特別な作品と見なされ、節目の年に演奏されるようになった。 戦争による中断後、記念すべき再開の年に演奏されたのが上述の1951年の演奏である。 フルトヴェングラーは1954年にも演奏している。 さて本演奏は、ワーグナー生誕150年、没後80年を記念した1963年のコンサートである。 指揮者は前年からバイロイトに登場したベームで、この時63歳。 この後バイロイトで新たな演出と共に「新バイロイト様式」を生み出すことになる。 第1楽章:中の速。 インテンポが守られ、壮年期のベームに特徴的ながっちりした構築性と推進力が共存した演奏である。 冒頭こそ穏やかであるが、間もなく熱気が入る。 展開部後半からは畳み掛けるようにオーケストラをドライブして、充実度が上がっている。 ライブのモノラル録音であり、古いこともあってオーケストラの微妙な音色まではわからない。 水準以上の演奏であると思う。 第2楽章:中やや遅。 集中力は保っているが、速度はやや落としてメリハリを付けている。 力強さは十分である。 中間部はやや速度が上がって中となる。 主部回帰部ではティンパニの強打が印象に残る。 第3楽章:中やや遅。 緩徐楽章でも指揮者、オーケストラ共に集中を切らさない。 緊張を孕んだ演奏と言うべきか。 第2主題部は僅かに速くなる。 弦楽は良い音色を響かせているようだ。 第4楽章、序奏:中やや速。 速く毅然としたレチタティーヴォが特徴的。 一時静止は短い。 歓喜の主題は中で端正に開始される。 主題が繰り返される部分では対位法的な副旋律の扱いが非常に上手く、自然に高揚していくのが素晴らしい。 第1部:中。 ロンドンのバスは声質こそ良いのだが、余分な間や過度の巻き舌などが少々聞きづらい。 音程を外すところもある。 四重唱ではヤノヴィッツが他を圧してしまっている。 美声で上手いのはわかるが、四重唱なのだからもっとバランスにも気を遣ってほしいものだ。 第2部:中やや遅。 トーマスのテノールは変わった歌い方である。 声質はやや太い。 さてフーガである。 中やや速で演奏され、期待通りの充実度である。 さすがはベームというべきか。 歓喜の合唱は厚みがあって素晴らしい出来である。 第3部:中やや遅。 合唱は大きく深い響きが良い。 第4部:中やや遅。 ここでも大きな広がりを感じさせる合唱がとても良い 第5部:中やや遅。 四重唱はやはりヤノヴィッツとその他3名という感じである。 ベームもコントロールしきれなかったと見える。 ここまで極端なのは聴いたことがない。 コーダ:中。 Maestosoで速度をやや落とし、最後は中の速で終結する。 拍手あり。 ブラヴォーはないが、地鳴りのような音が収録されている。 足踏みなのか一斉に立ち上がったときの音なのか。 総評:第1楽章や終楽章序奏で聴かれるように、速めで非常に凝縮し、集中力の高い演奏が特徴的な演奏である。 その一方で中間楽章や終楽章の合唱部分のように、速度はやや落とすものの高い集中力を保つ部分も聴かれる。 元々ベームの本質として持つ構造性重視の音楽に緊張感が加わることで、非常に充実した演奏になっている。 残念なのが独唱者であり、ソプラノのヤノヴィッツは完全に他の3名を制圧する歌唱であり、四重唱ということを全く理解していない。 バスとテノールはやや実力不足。 もしベーム・ファミリーと言われた歌手達、シュヴァルツコップ、ルートヴィヒ、ヴィントガッセン、ベリーらを起用していたら、まさに夢のような演奏会になっていたのにと考えてしまう。 名演であるが、上記四重唱が全く駄目なのと、録音が悪いことを加味して推薦にはしない。 見事に中庸の美徳を具現している。 変わったことは何一つしていないが、楽器バランスや強弱のバランスが良く、適正なテンポとしっかりした刻みのリズム、適度な推進力と相まって高品位の演奏となっている。 展開部兼再現部の頂点の迫力も立派である。 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(LPO)の演奏もハイティンクのコントロールの下に十分なレベルを示している。 これは後年のを凌駕するのではないか。 第2楽章:中やや速。 リズム感と推進力が心地良い演奏である。 反復があるのが残念なところで、主部が長すぎる印象を与えてしまう。 中間部は速くならない好みのタイプ。 中やや速でホルンの速度など最適だと思える。 第3楽章:中やや速。 端正で品位ある演奏である。 僅かにフレーズの息遣いが浅いようにも感じられる。 第2主題部は少し速くなる。 十分優れた演奏であるもここは87年ACO盤に及ばない。 第4楽章、序奏:レチタティーヴォは速めで始まり、次第に遅くなる。 歓喜の主題は中。 丁度良い速度でしっかり盛り上がる。 第1部:中。 ラクソンは多少力が入りすぎのようで、低音域の音程が怪しいが、なかなか立派な歌唱である。 四重唱は残念ながらソプラノのボーデが出過ぎ。 第2部:中やや速。 ラウベンタールのテノールは声質が軽い。 充実したフーガとしっかり厚みのある歓喜の合唱が良い。 第3部:中。 合唱は男声合唱が多少叫ぶきらいがあるものの立体的でなかなか優れている。 オーケストラ伴奏も構造的。 このあたりはハイティンクのコントロールが卓越しているのだろう。 第4部:中やや速。 二重フーガも立体的、構造的で優れる。 第5部:中やや速。 四重唱はここでもソプラノが出しゃばりすぎでバランスが悪い。 ハイティンクもここまではコントロールしきれなかったと見える。 対抗すべきテノールの声量がないのも原因だろう。 コーダ:マエストーソでしっかり速度を落とすのがとても良い。 最後は速くし過ぎていないところも良いバランスだと思う。 総評:これは意外と言っては大変失礼なのだが、予想外の名演であった。 47歳時のハイティンクが既に高度なオーケストラ・コントロールの能力を発揮しており、若さを印象づける推進力も合わせ持つという演奏である。 この時点でハイティンクのやりたいことが全て出来るのは多分LPOであり、一癖も二癖もあるACOではまだそこまでの楽団把握が出来ていなかったため、全集はLPOを起用したのだろう。 無論の価値は衰えない。 ACOでも完璧なオーケストラ・コントロールを示し、加えてどこにも真似できないような純度の高い音色があること、更に独唱者4名が最高であることなどがその根拠である。 ただ本演奏でのLPOも決して音色や音響の厚みに不足がある訳ではない。 そして独唱者の出来を除くとむしろ本演奏の方が優れる点も多々あるとさえ思える。 具体的には第1、2楽章は僅かに本演奏の方が上を行くし、終楽章も速度設定など本演奏の方が良いように思える。 これで独唱者が良かったら文句なしの特選であったと思われる。 第3楽章もハイティンクの得意とする楽章であり、十分良い演奏である。 合唱の扱いも立体感があって非常に良かった。 ハイティンクは異なる三つの合唱団を率いていずれも名演を聴かせてくれている。 オーケストラだけでなく、合唱団のコントロールも優れていることがわかる。 これは余裕で推薦盤の仲間入り。 ベームの刻むような力強さにWPhの柔らかさが絶妙にブレンドされていて良いバランスである。 展開部では構造性重視のベームの特性が発揮され強固な立体感が聴かれる。 全体にほぼインテンポが貫かれており、一時静止を殆ど取らなかったり展開部兼再現部の頂点でも遅くしたりしないのは本来のベームのスタイルであろう。 身振りの大きな演奏ではないけれども、自然ににじみ出る格調とスケール感が良い。 第2楽章:主部は中やや遅。 中間部は中。 推進力はそこそこであるも、強い刻みが印象的な主部、 端正な中間部。 第3楽章:中。 ベームはベートーヴェンやブラームスの緩徐楽章の演奏に名演が多い。 ここでも過度に感傷的にならず、穏やかながら格調高い演奏である。 弱音でのウィーンフィル(WPh)の弦楽が繊細な美しさを示す。 速度変化や細かい表情付けは行っていない。 溜や一時静止も殆どないのがやや素っ気なく感じられるも、ベームらしいと思える。 第2主題部が速くならないのは私の好みに合っている。 第4楽章、序奏:中やや遅。 レチタティーヴォはさほど入れ込んでいない。 歓喜の主題前の静止は短い。 歓喜の主題は開始が中やや遅で良い感じだが、後半で少々盛り上がりに欠ける。 第1部:中の遅。 リッダーブッシュの声質は良く音程も正確。 出だしからかなり力が入っている。 四重唱はジョーンズのソプラノが光る。 第2部:遅。 第1部との間の静止は短い。 遅さが特徴的。 トーマスのテノールは声量があり、音程もまずまずだが、遅さのため歌いにくそうである。 フーガは中やや遅で水準以上であるも、定評あるベームのフーガ演奏にしては平凡か。 歓喜の合唱はまた遅く個性的。 合唱は普通。 第3部:遅。 ここでも遅いが、天上的な響きが感じられるので遅さに説得力がある。 ただ合唱も遅さにやや苦労しているのが聴き取れる。 第4部:遅。 遅い合唱のため各声部が混和して大聖堂の響きを思わせる独特の音響となっている。 第5部:遅。 四重唱ではやはりジョーンズが目立つが突出しているわけではない。 一人だけ格が違うという感じ。 終結部:中の遅で進み、最後だけかなり速くなる。 ここはもう少し遅い方が整合性を持ったと思う。 総評:前三楽章が飾らない構造性重視の壮年期のベームスタイル、終楽章が晩年のスタイルとなっている。 もともと前三楽章と終楽章の曲想が異なり、木に竹を接いだような曲なのでやむを得ない部分もあるけれども、このスタイルの違いは少々違和感を覚える。 終楽章でも第3、4部などのように遅さが成功している所もあるのだが、全体に間延び感や集中しきれない部分も聴かれる。 それにこの方向性なら、より徹底している10年後の演奏の方が良い。 本演奏では前三楽章の出来が良く、この方向性で終楽章を演奏してほしかったと思う。 提示部では所々でもたつくような遅さを感じるが、総体的にさほど遅さに違和感を覚えない。 フレーズの終わりが全て長いので壮年期のベームのような刻みのリズムは殆ど感じ取れない。 展開部に入ってからは次第に遅さが説得力をもって迫ってくる。 念押しするようなリズムも聴かれるようになる。 展開部から再現部で集中力も増しているようだ。 コーダでは遅さとクレッシェンドが凄い。 クレッシェンドが来るとわかっていても思わず力が入ってしまう。 ウィーンフィル(WPh)らしい弦の柔らかさは聞き取れるが、デジタル初期の録音のためか響きがやや硬い。 第2楽章:遅。 この楽章も曲の入りは遅さが少々気になるが、主部の後半から遅いなりにリズムに乗ってくる。 中間部は中やや遅、主題回帰部は中の遅でコーダは中。 楽章の後半は大して遅くない。 第3楽章:中の遅から遅。 WPhの弦が美しく詠っている。 安らぎに満ちており、遅さが有意義に聞こえる。 第2主題部は中の遅で普通という感じで決して遅くない。 好みから言うと第2主題はもっと遅くても良いぐらいだが。 この楽章も第1、2楽章と同じで初めが遅く、楽章後半で速くなっていく。 第4楽章;序奏:中の遅。 レチタティーヴォはかなり力強く演奏されている。 歓喜の主題登場前の静止はごく短い。 一方歓喜の主題を極めて小さな音量で開始するのが印象的。 何も皆がに倣う必要はないのだ。 このベームのやり方も十分劇的と思う。 その後主題が高揚する部分は中の遅となり、WPhの音色が実に美しい。 第1部:中。 ベリーのバリトンだが歌い始めは合格。 声も良く立派な歌唱だ。 しかしシラーの詩に入ったとたんに速くなり過ぎたのが残念。 途中から少し修正しているが、ベームの方を見ていなかっただろうと言われても仕方がない違和感である。 この部の最後の合唱でもフェルマータは長くなく、フルトヴェングラーのやり方とは明確に違う。 第2部:遅。 直前の静止はやはり短い。 第2部になるとはっきり遅いと感じる。 ドミンゴのテノールは元バリトンらしいしっかりした声質、歌唱力とも優れたものである。 しかしベームの遅い指揮についていくのが難しそうで、独唱後半でややスピードアップする。 独唱後のフーガは遅く、シンフォニックで良い。 歓喜の合唱は遅さがもたつきに思えてしまう。 流石にここは遅すぎると思う。 第3部:遅。 やはり遅いが、この部では遅さがよく生きている。 遅い合唱が別世界を感じさせる。 ただ女声合唱は良い声なのに、男声合唱が荒っぽい。 第4部:遅。 遅い二重フーガである。 遅さが壮大さを生んでおり、とても良い。 第5部:中の遅。 四重唱は全員が叫んでいるようで良くない。 コーダ:中やや遅。 途中マエストーソになる部分もしっかり速度を落とすのが良く、最後のプレスティッシモが生きている。 終楽章全体として、独唱部分が気になった。 独唱者4人はそれぞれ上手いと思うのだが、四重唱が自己主張ばかりで今一つなのと、ベームの遅さを今ひとつ理解し切れていない印象。 逆に言えばベームも独唱者をコントロール出来ていない。 総評:ベームとWPhとして二回目の録音、ベーム最晩年の境地が聴ける。 全体に非常にスローテンポなのが特徴で、その遅さが十分説得力を持っているのが第3楽章である。 その他に第1楽章の後半、終楽章の後半も遅さが意味を伴っており優れている。 かなり個性的なのは言うまでもなく推薦とはしにくいが、独特な魅力がある演奏である。 冒頭からいきなり駄目である。 先を急ぐような演奏にしか聞こえない。 余韻と言うものが全くない。 金管がプカプカ鳴っているのも、「これがベルリンフィル(BPh)?」というレベルである。 弦楽は速い部分も破綻なくきちんとしたアンサンブルを聴かせてくれるが、速さと巧さを誇示されてもそれは芸術とは別だよね、と言いたくなる。 展開部の高揚する部分も案の定味気なく、ティンパニだけが目立つ。 そのまま何も良いところなくコーダに至る。 第2楽章:主部は中やや速。 第1楽章ほど非常識に速くない上に、スケルツォなので速さがあまり欠点にならないので、それなりに聴ける。 ただやはり反復はしている。 さてそれで良い演奏かというととてもそうは言えない。 よほど小編成にしているのか、BPhらしい音響の厚みが全然感じられないからだ。 ノンヴィブラートがいけないのかも知れない。 中間部は速。 これはまた明らかに駄目。 そんなに先を急いでどうするのか。 第3楽章:速。 フレーズの呼吸が極めて浅く、慌ただしく次へ次へと進んでしまうので、せっかくの名旋律が心に残らない。 余韻は全然感じられない。 速度以外にも気に入らないところがある。 内声部の扱いが悪く、主旋律だけのひどく単純な曲に聞こえるのだ。 全くもってベートーヴェンへの冒涜である。 第4楽章:序章は速。 せわしないレチタティーヴォが嫌な感じである。 歓喜の主題は弱音で開始される。 やはりすぐ次のフレーズに行ってしまうので慌ただしい。 第1部バス独唱に入ると速度は中やや速となる。 独唱者や合唱にまで速すぎるテンポを強要出来なかったと見える。 バスのクヴァストホフは上手く、声質も優れている。 第2部のオーケストラ部分はまた速い。 そのままでテノール独唱に進んでしまうため、モーザーがすごく歌いにくそうにしている。 声質は良いのに気の毒である。 歓喜の合唱も速い。 金管の合いの手が安っぽい。 第3部は中の速。 やはり余韻のない演奏。 合唱の厚みが比較的あるのにBPhが薄っぺらで釣り合っていない。 合唱にミスあり(声がかすれる)。 第4部は中、何故ここで普通の速度?整合性は?第5部の四重唱はなかなか良い。 コーダはピッコロが喧しい。 総評:アバドとBPhによるこの1999〜2000年の全集には最低レベルの評価を付けてきたが、本演奏もと並ぶ、超絶駄演である。 良いところが何一つない。 おっと忘れるところだった。 独唱者は良いと思う。 BPhも管が駄目だし、合唱も実力が低そう(男声合唱は叫ぶし、女声合唱は声が裏返ったりかすれたりするのがいるし)。 大体なぜスウェーデンの合唱団をわざわざ使うのか。 まあ、何より駄目なのがアバドなのだが。 遅めのテンポで間延び気味であるが、強弱を大きく付けることでなんとか緊張を保っている。 同じ遅めでもの構造的な演奏に対ししなやかな演奏だ。 展開部あたりから次第に速くなり、普通のテンポとなる。 展開部での白熱度、緊迫度は物足りない。 コーダでぐっと遅くなり、そこから加速して楽章を終える。 ウィーンフィル(WPh)の弦楽は柔らかい良い音色である。 管楽は普通の出来か。 第2楽章:中の遅。 主部はやはりかなり遅く、リズム感が不足気味。 ディナーミクを強調することで補っているのは第1楽章と同じ。 この演奏は主部の繰り返しがある。 こんな繰り返しは無駄に長くなるだけであり不要。 こういうのを指揮者はきちんと切り捨てて欲しいものだ。 中間部は速過ぎ、主部と合わないと思う。 だいたい私個人としては、速めない伝統的演奏のほうが圧倒的に好きである。 第3楽章:中やや遅。 遅めだがこの楽章としては特に遅いというほどではない。 WPhのやさしくもしなやかな音色が美しい。 第2主題はやはり速めのテンポとなる。 少し急いでいるように聞こえてしまう。 私は第2主題も遅めに演奏して欲しいのだが、速く演奏する指揮者が多いようだ。 本演奏における第3楽章全体の印象としては悪くはないが平凡である。 第4楽章、序章:レチタティーヴォは速い。 確かに楽譜にはそう書いてあるし、フルトヴェングラーもそう演奏しているのだが、第1〜第3楽章の流れからすると結構違和感を覚える。 一時静止は短い。 ここはフルトヴェングラーに倣っていないようだ。 第1部:中。 プライのバスは、声自体は素晴らしいものの、明らかにオペラ癖が出ている。 軽い感じで威厳に欠ける。 フィガロが歌っているようにしか聞こえない。 四重唱はソプラノが出しゃばりすぎ。 ソプラノも指揮者もバランスを考えないのだろうか。 第2部:中やや速。 ヴィンベルイは叫んだときに音程が合っていない。 この曲はオペラじゃないんだが。 バス、テノールとも人選ミスである。 歓喜の合唱も速め。 第3部:中。 合唱はなかなか良い。 第4部:中やや遅。 二重フーガは再び遅くなっている。 ここは合唱、オーケストラとも立体的で良い。 第5部:中やや速。 四重唱はここでもソプラノが暴走。 プライの美声もかき消されてしまっている。 コーダ:中。 中間のマエストーソの部分はあまりテンポが変わらない。 もっとはっきりテンポを落としてくれた方が良かった。 最後の速さはまずまず。 総評:1980年代も後半になり、カラヤン、バーンスタインはまだ健在であったものの高齢となり、次世代のスター指揮者を本格的に決めなくてはという雰囲気が漂っていた。 そんな中、ドイツ・グラモフォンの肝煎りでアバドが王道たるべきベートーヴェン交響曲全集を録音したのがこのシリーズである。 アバドもそういう立場をわかっていての演奏であったと思うが、そこかしこで消化不良の部分があり、彼のベートーヴェンに対する理解度に疑問を抱いてしまう結果となった。 アバドはこの後ベルリンフィル(BPh)の首席指揮者にまで上り詰めたのに、結局王道を行くことは出来ず、そのプレッシャーから逃れるために妙なピリオドまがいの奏法を取り入れて迷走することになる。 本演奏はそういった後年の凋落の原因がうかがえる演奏とも言えるだろう。 と印象はよく似ている。 ライブだからと言って煽るような表現にならないのはハイティンクらしいところだ。 引き締まった端正さ、調和のとれた演奏という印象が強い。 一字一句はっきりさせた楷書体の演奏でありながら、ライブらしく僅かな速度変化で劇的な味付けをしているのが絶妙のバランスである。 コンセルトヘボウ管弦楽団(ACO)の演奏もライブながら見事なもので、さすが一流どころは違うなと思わせる。 強いて違いを述べるならば、87年盤の方が、より高度なアンサンブル、より魅力的な音色を聴かせているようだ。 7年で進化したのか、録音の差か、ライブとセッション録音の差かはわからない。 第2楽章:主部は中。 中間部も中、中間部で速くないのはハイティンクに共通する良いところ。 中間部後半から僅かにテンポの伸縮がある。 第3楽章:中。 ハイティンクの第3楽章は実に良い。 聴き始めるとすぐ品格の違いを感じる。 どこが他と違うのだろう。 メロディをしっかり歌うだけでなく、内声部などのバランスに優れ充実した響きになっているからだろうか。 87年盤より僅かに速く、全体の速度は中となっている。 終盤で軽い速度の変化が聴かれるのがライブらしいと言えるか。 いずれも名演であり甲乙付けがたい。 第1主題部の速度は本盤の方がより自然であるが、第2主題部が遅めでACOの美音度が高い87年盤も素晴らしい。 レチタティーヴォは87年盤と異なり中速。 歓喜の主題も中で、87年盤より劇的なところが好み。 歓喜の主題前の静止は中ぐらいで丁度良い。 第1部:中。 リンツラーのソロは歌と言うより台詞を述べているように聞こえる。 低音域が出ていないのではないか。 声質も人工的な感じで好みではない。 一方合唱は87年盤と合唱団が異なるが、こちらも良い。 四重唱はバスが弱い。 1部終わりのフェルマータは中ぐらいからやや長い。 第2部:中の速。 ラウベンタールの声は特に魅力がある訳ではない。 そつなく歌っているという感じで声量は不足気味に思う。 フーガは少々速い。 歓喜の合唱は中で、スケール豊かである。 第3部:中やや遅。 良い合唱であるが、男声合唱はオランダ放送合唱団の方がやや上。 第4部:中やや速。 立体感のある二重フーガであるが、87年盤の完璧な構造感と比較するとやや劣る。 第5部:中やや速。 テンポの変動あり。 プライスの声は硬質で聴きづらい。 バスのリンツラーは存在感がない。 四重唱として出来は悪い。 コーダ:速。 Maestoso部分の速度の落とし方は絶妙で速度の対比が鮮やか。 最後は87年盤以上の速さで流石のACOも多少鳴りきっていない。 拍手が短時間収録されている。 第5部からコーダはライブらしい加速と高揚が聴かれる。 終楽章全体としてはハイティンクらしいバランスのとれた演奏である。 無論高度な演奏であるのだが、87年盤の圧倒的な歌手陣と比べてしまうとさすがに分が悪い。 総評:特薦盤の座に着いているのが同じなので、どうしてもこれと比較することになる。 7年の開きがあるも、基本的な曲作りは共通しているように思う。 ハイティンクらしい真面目な解釈である。 ACOも絶頂期の87年盤には僅かに及ばないものの十分な実力を発揮している。 特に前半三楽章はどちらを聴いても十分な満足感が得られる名演だと思う。 ハイティンクはライブで特に爆演になる指揮者ではないので、ライブらしい劇的さはさほどないが、普通の演奏として十分高水準であると言える。 違いが出るのが終楽章である。 上述の通り、87年盤の独唱四名があまりに凄すぎて比較にならない。 ハイティンクのテンポ設定などはむしろ本盤の方が優れている部分もあるし、合唱もそれほど遜色ない演奏なのであるが…。 その後第2主題提示部あたりから中やや遅となり、リズム感が出てくる。 極端ではないが所々で溜めやリズム変化が用いられている。 展開部兼再現部の頂点では中やや速まで速度を上げる。 コーダでは一旦遅くなり徐々にアッチェレランドをかけるが、速くしすぎないのが良く、規模が大きく聞こえる。 ティーレマンはこの全集で縦に整った響きや細部の厳しさを描くのではなく、スケール感を追求しているように感じられるが、この9番でも大編成オーケストラの響きを十分に活かす曲作りをしている。 大らかで広がりを感じる演奏。 第2楽章:主部は中の遅で、重厚な演奏。 全体には少々遅すぎるように感じられるも、クライマックスでは遅い足取りが独特の雰囲気でなかなか良い。 ただ違う曲を聴いている印象を与える憾みがある。 中間部は中やや遅で丁度良い速度。 この速さであればこそ、この曲の穏やかな美しさが魅力を最大限発揮すると思える。 中間部を速く演奏するの指揮者はその辺りがわかっていない。 1990年代以降は喧しく聞こえることも多いウィーンフィル(WPh)の金管であるが、ここではホルンを中心に良い音色である。 第3楽章:中やや遅。 おおらかにゆったり歌う弦楽が美しく、近年ろくな演奏がなかったWPhを再評価したくなる。 厳密に縦の線を合わせるような演奏ではないが、全体の流れを優先しており、こういった演奏もまた良しである。 WPhらしい演奏とも言える。 ティーレマンはこの楽章で速度変化をあまりつけていない。 第2主題部の終わりなど彼のスタイルならしっかり伸ばしそうなものだが、そのまま流している。 第1主題部はフレーズの息がやや浅く、すぐ次へ進んでしまうのが少し不満。 一方第2主題部は速くならず、ゆったり歌うのが非常に良い。 第4楽章、序奏:中やや遅、レチタティーヴォが速くないのは好み。 歓喜の主題登場前の静止は長い。 歓喜の主題部は中。 後半のアッチェレランドも良い感じ。 第1部:ツェッペンフェルトのソロはとても良い声で気に入った。 四重唱から合唱は中の速。 合唱は深い響きで大きさを感じる。 最後のフェルマータはやや長め。 第2部:一時静止は普通の長さ。 テノールのベチャーワは特に美声というわけではないが、よく声は出ている。 急加速してフーガへ至り、フーガは中の速。 なかなか劇的であり良いと思う。 歓喜の合唱は厚みがあって満足度が高い。 ウィーン楽友協会合唱団はは実力不足などと言われていたようだが、21世紀になって実力が向上しているようだ。 速度は中の速。 第3部:中。 弦楽合奏部の立体感が優れている。 合唱もスケール感があって素晴らしい。 それが優秀な録音で捉えられているのが特筆される。 第4部:中やや速。 速めだが合唱の扱いが非常に上手く、立体的に大きく響く。 第5部:中やや速。 ここでも合唱が非常に良い。 四重唱はやはりバスのツェッペンフェルトが出色。 コーダ:中の速。 ピッコロが非常に良く響いている。 Maestosoでの速度の落とし方も良い。 最後はシンバルが目立つ終結。 総評:第1〜3楽章は遅めの演奏がティーレマンらしく、最近のピリオド奏法、せかせかした速い演奏にきっぱり反対の意を表しているのが素晴らしい。 曲の広がりや大きさをよく表現している。 ただ曲の解釈としては特に個性的なものではなく、比較的オーソドックス(時々ティーレマン節が入るが)。 WPhのベートーヴェンとも言えるのではないか。 無論これはティーレマンとWPhの相性が良いことによるものだろう。 最近のWPhは妙に品のない音色が目立っていただけに、久々のWPhらしい美音が聴けるのは嬉しい。 そこで終楽章はといえば、これが一転してティーレマンらしさ全開となっている。 彼の本領はオペラにあると言われるが、その特質を生かし合唱を実に良く歌わせ切っている。 前三楽章と終楽章の扱いが異なるが、これはもともとの曲に矛盾を含んでいるためであり、悪いことではない。 本演奏では充実した合唱、情熱的な演奏で終楽章としては成功していると思う。 総合的に判断して、、には僅かに及ばないように思う。 しかしベートーヴェンらしく規模の大きな演奏スタイルと、WPhの美音が優秀録音で捉えられていることを考え合わせるとトップ5に十分入る演奏と考える。 曲の冒頭から前半は中庸の徳を具現化した演奏である。 余計な色を一切付けないブロムシュテットの曲作りにシュターツカペレ・ドレスデン(SKD)の強靱な刻み、そして深い琥珀色を思わせる弦の音色が合わさって、重すぎず強く格調の高い演奏となった。 ブロムシュテットの指揮はインテンポ一本槍ではなく、強調するところで少し加速したり、コーダ前でしっかり減速したり適切な変化を持たせている。 またリズム感も豊かである。 楽章全体にティンパニが目立っているが、特に展開部と再現部を兼ねる頂点から以降ではその強打が炸裂している感じであり、威力満点である。 良いことずくめのようであるが、強いて欠点を挙げれば、バランスとしてはティンパニを強調しすぎているように思える。 その点ではのような神経の行き届いた演奏の方が私は好みである。 第2楽章:中。 強いリズムが支配する演奏である。 ティンパニの強打がSKDらしさを表現している。 反復が行われ、より時間は僅かに長いのに、本演奏では長すぎると感じられなかった。 リズムと推進力に優れるためだろうか。 中間部が速くならないのは私の好みのタイプ。 第3楽章:中。 一転してアンティーク家具を思わせるSKDの弦楽が魅力を発揮している。 第2主題は僅かに速くなる程度で、しっかり歌うのが素晴らしい。 コーダで大きく減速し終楽章へと移る。 レチタティーヴォはやや速めに演奏される。 歓喜の主題前の一時静止は短い。 主題は中速で始まり、徐々に速度を上げる。 劇的に盛り上がり、ここは完璧である。 第1部:中、後半は中の速になる。 アダムのバスは声量豊かで立派なソロである。 四重唱も合唱も上手く、推進力に満ちた音楽となっている。 第2部:中。 シュライアーのソロは最初抑えめに入るが、その後豊かな声量と美声が存分に発揮される。 フーガは中やや遅で推進力に富む。 歓喜の合唱は厚く豊かな合唱で輝かしさがある。 第3部:中。 合唱が素晴らしい。 とに匹敵すると思われる。 第4部:遅。 ここでは遅くなり、巨大な二重フーガを構築している。 遅くした効果が十分出ている。 これは凄い。 第5部:中やや遅。 四重唱はややソプラノが出過ぎている。 知らないソプラノであるが、声量はあるようだ。 最後の四重唱も少々バラバラな印象で、珍しくシュライアーも良くない。 この第5部だけがちょっと残念な出来となっている。 コーダ:中。 速過ぎず推進力を保っている。 Maestoso部分も十分速度を落とし文句なし。 そして終曲のPrestissimoはやはり速過ぎずしっかり締める。 総評:これは超名演である。 全体に非の打ち所がない。 SKDの音色、テノールソロ、バスソロ、合唱も高度なレベルで揃っている。 と並び特薦の座に着いた。 楽器のバランスや響きの溶け合い方などにおいて、より中庸性が高いのはハイティンクであるし、ブロムシュテットは速度設定が最も優れている上に強い刻みで迫力が上回る。 SKDの特色を生かした9番の演奏という意味では明らかにより上である。 デイヴィスは重々しい演奏を狙いすぎてかえってSKDの良さを生かし切れていない憾みがある。 【名演、特薦】 ベタであるとは思いつつ、年末なので「第九」を集中的に取り上げることにした。 デイヴィスやは以前にも聴いており、再鑑賞した感想を述べている。 一方クレンペラーと本演奏、ブロムシュテットは初めて聴く演奏であった。 そこそこ期待はしていたものの、本演奏の名演度は期待を遙かに上回るものであった。 年末に嬉しい誤算である。 冒頭から遅く重厚な演奏である。 ところどころでアッチェレランドが入ったり、念押しが入ったりするので一本調子ではない。 再現部にて極めて遅くなり、そこから加速するのはちょっと異端な気がする。 この時代のゲヴァントハウス管の音色は他のいかなるオーケストラとも異なるもので、これを聴くだけでも価値がある。 この楽章は重々しく立派であり、名演と言って良いだろう。 第2楽章:中の遅。 そこかしこで念押しがあり、非常にごつごつした印象。 トリオは中、主部よりは速くなっているのだが、元が遅いので良い速度となっている。 第3楽章:中やや速。 第1楽章の遅さからすると意外な速さ。 もっともコンヴィチュニーはでも楽章が進むにつれ速くなっていったので、そういうスタイルなのかも知れない。 速過ぎるとは感じないが、頑強な遅い演奏を期待していたのでやや拍子抜け。 一方、弦楽の音色の何と心地良いことか。 聞き惚れてしまう。 古い録音とは思えない良好な音質も特筆される。 第4楽章 - 序奏:中の速。 おとなしい曲の入りである。 クライマックスはもっと後だという意味だろうが、ちょっと迫力に欠ける。 レチタティーヴォは速め。 歓喜の主題前の全楽休止は短い。 歓喜の主題は中の速。 ここでも弦楽の音色が喩えようもなく魅力的であるが、それだけにもう少し遅く堂々と演奏して欲しかった。 第1部:中の速。 アダムのバスは堂々としているし良く通る声も良い。 四重唱ではソプラノが突出する。 最後のフェルマータは長め。 第2部:一転、遅となる。 テノールも歌いにくそうである。 ところでRotzschというテノールであるが、音程こそ正確だが声質はひどく軽く、この曲には似合わない。 恋歌でも歌っているようだ。 フーガに至っても中の遅のままであるが、第1、2楽章で聴かれたような重厚な念押しはなく、ただ遅いだけの締まらない演奏である。 これはどうしたことか。 歓喜の合唱は中。 厚みが感じられず、合唱団の実力はあまり高くなさそう。 第3部:中の遅。 なんかぶつ切れの演奏で流れが悪い。 第4部:中やや遅。 少し流れを取り戻した感がある。 第5部:中の速にまた速度を変えている。 一貫しないなあ。 ソプラノとアルトは知らない歌手だがたいしたことはない。 全体にソプラノは気張りすぎ、特に四重唱の最後は声を張り上げまくって興醒めである。 コーダ:中。 普通のコーダだが、最後の最後が軽い。 総評:重心の低いどっしりした演奏を期待したのだが、それは第1、2楽章だけであった。 第1楽章の調子を終楽章まで続けてくれたら良かったのに。 どうもコンヴィチュニーのこの全集は全て第1楽章に力が入っており、その後軽くなる傾向があるように思う。 なら曲想からそれも良しとできるのだが、さすがにこの9番でそれをやってはまずいだろう。 特に終楽章は速度が一定せず、印象がばらばらである上に、第3部などは集中力の欠如が聞こえる。 また、独唱、合唱とも能力が低いのも残念なところ。 バスのアダムだけが孤軍奮闘している。 全体として期待はずれ。 【佳演】• 12 archives• 24 recent comment•

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